古代・中世哲学

エピクテトスの「自分次第のもの」とは? ストア派の心を乱さない考え方

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Ruins of the Theatre at Nicopolis - Goodisson William - 1822
Photo: William Goodison / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査スタンフォード哲学百科事典・インターネット哲学百科事典をAI(Claude)が調べ、内容を確認して整理しました。特定の思想の正しさを断定するものではありません。出典は末尾にあります。

上司の機嫌、電車の遅延、他人からの評判。私たちの悩みの多くは、自分ではどうにもできないことから生まれます。約2000年前、奴隷の身分から解放された一人の哲学者が、この悩みに一つの答えを示しました。世の中のことを「自分次第のもの」と「そうでないもの」に分けて考えよ、というのです。

3行でわかる

  1. エピクテトスは、物事には「自分次第のもの」と「自分次第でないもの」があると説いた。
  2. 判断、衝動、欲求、嫌悪といった自分の心の働きは自分次第だが、体や財産、評判などはそうではない。
  3. 人の心を乱すのは出来事そのものではなく、出来事についての判断だとした。

01これは何か(人物・概念の正体)

「自分次第のもの」とは、自分の判断や欲求など、自分の心の働きのことです。エピクテトスは、これと自分ではどうにもならないものとをはっきり分けることが、心の平静の出発点だと考えました。

エピクテトスは、古代ローマ時代のストア派の哲学者です。紀元50年代にヒエラポリスで生まれ、奴隷として過ごした時期があり、のちに自由の身になりました[1]。

エピクテトス自身は著作を残していません。その教えは、弟子のアリアノスがまとめた『語録』と、その要約である『提要(エンケイリディオン)』によって伝えられています[1]。

02どんな時代・文脈で生まれたのか

皇帝の命令で哲学者がローマから追放されたあと、エピクテトスはニコポリスで学校を開き、教えを説いた。

89年、皇帝ドミティアヌスが哲学者を追放する命令を出したため、エピクテトスはローマを離れました。その後、ニコポリスに自分の学校を開いています[1]。

自分ではどうにもならない運命に翻弄された経験が、その教えの背景にあると読むこともできます。

03中心の思想を、生活の言葉で

自分次第なのは、判断・衝動・欲求・嫌悪。人を乱すのは出来事ではなく、それについての判断である。

『提要』第1節・第5節[2]

『提要』は、「あるものは私たち次第であり、あるものは私たち次第ではない」という言葉で始まる。私たち次第なのは、判断、衝動、欲求、嫌悪、つまり自分自身の行いである。また第5節では、人の心を乱すのは出来事ではなく、出来事についての判断だと述べられている。

よくある誤解: 「自分次第でないものは気にするな」は、無関心や諦めのすすめではない。自分が働きかけられる部分に力を注げ、という考えである。

エピクテトスがとくに重視したのは、心に浮かぶ印象を正しく扱うこと、そして選択する力(プロアイレシス)でした[1]。出来事への最初の印象をそのまま受け入れず、判断を吟味することが求められます。

04今の生活・現代社会での意味

どうにもならないことに悩み続けるのをやめ、自分が変えられる部分に集中する考え方として、今も多くの人に読まれている。

1

悩みを二つに仕分ける

悩みを「自分で変えられること」と「変えられないこと」に分けると、手をつけるべきことが見えやすくなる。

2

出来事と判断を分ける

嫌なことが起きたとき、出来事そのものと、自分がそれに下した判断を分けて考えると、気持ちを立て直しやすくなる。

05よくある質問

エピクテトスの「自分次第のもの」とは?

判断、衝動、欲求、嫌悪といった自分の心の働きのことです。体や財産、評判などは自分次第ではないとしました。

「人を乱すのは出来事ではなく判断だ」とはどういう意味?

同じ出来事でも、それをどう判断するかで心の動きが変わる、という意味です。『提要』第5節の言葉として知られています。

エピクテトスの本は何を読めばいい?

弟子のアリアノスがまとめた『語録』と、その要約である『提要(エンケイリディオン)』が伝わっています。短い『提要』から読むのが入りやすいでしょう。

出典

  1. Graver, M. "Epictetus." Stanford Encyclopedia of Philosophy. https://plato.stanford.edu/entries/epictetus/
  2. "Epictetus." Internet Encyclopedia of Philosophy. https://iep.utm.edu/epictetu/
  3. Durand, M., Shogry, S., & Baltzly, D. "Stoicism." Stanford Encyclopedia of Philosophy. https://plato.stanford.edu/entries/stoicism/